・ 癌になる原因と見えなかったピース
・ 癌は遺伝子の変異が原因ではない!
・ マイトコンドリアの機能障害
・ 酵母に見られるマイトコンドリア
・ 食事と薬だけで最も悪性の癌が消えた!
・ マイトコンドリアも発酵する !
※最後に簡単な概要を書いたよ!

今回は癌についての話だよ。

癌って放っておくと死んじゃうんでしょ?

だから普通は外科的な方法や化学的な方法で治療をして悪い細胞をやっつけるんだ!

なんか体に負担がありそう!

物凄く負担だよ!
でも負担のない最新の治癒方法があるんだ!

その理由と治療方法が今回のテーマだよ!
癌の原因と見えなかったピース

そもそもなぜ癌になるかってことんなんだよ!

何でかな?

元々癌は『遺伝子の変異を起源』とした説と『代謝の変化を起源』とした説が有ったんだ!

元々?

そう、ここ80年以上『遺伝子起源説』を中心にして癌治療が発展してきたってこと!

『代謝起源説』はどうなったの?

簡単に言うと証拠不十分で歴史から消えてしまったんだ!

『代謝起源説』 は1930年頃にOtto Warburgと言うドイツのお医者さんによって提唱されたよ!

腫瘍細胞の研究をしていたWarburg先生は癌細胞と正常細胞の決定的な違いを見つけたんだ!

それが代謝の仕方なんだね!

ピンポン!

どんな代謝なの?

正常細胞の代謝の一つには酸素のない状態でグルコースを分解して乳酸を作り出すと言うシステムがあるんだけど、覚えてる?

うん、遅筋と速筋でやったね!

これは運動能力と筋線維から見たエナジー生成の方法だったんだけど、グルコースを嫌気的に分解するのは速筋だったよね!

無酸素状態でエナジーを取り出しているってことなんだよね!

その通り!

取り出した後に出来るパイルベイト(ピルビン酸)は無酸素運動によって乳酸を作るか有酸素運動でマイトコンドリアの中に入ってもっと沢山のエナジーを作るってことをやってるんだ。

Warburg先生は何を発見したの?

癌細胞は有酸素状態でもグルコースの分解と乳酸の産生をすることが出来るってこと!

これを好気性解糖(酸素の存在化で糖を分解する)とかウォルバーグ効果(Warburg effect)って呼んでるよ!

発見者の名前をつけたんだね!

元々は酵母が酸素の存在下で発酵して乳酸を作る(パスツール効果)に対してつけられた名前だよ!

大事なことは、発酵と同じように嫌気的条件で乳酸を大量に産生しているところが正常細胞と違っていて(通常は酸素を使う代謝で乳酸の産生は限られている)、ウォルバーグ先生はマイトコンドリアの呼吸障害が癌化の起源って考えたんだ!

でも細胞が悪性化したから発酵が始まったって考えることも出来るよね?

良い気づきだね!

つまり、Warburg先生は代謝障害が原因で遺伝子を変化させると考えたけど、充分な説明が出来なかったために、遺伝子の変異が起きた結果、代謝障害が起こると広く信じられてしまったんだよ!

ってことは、その説明が充分に出来るようになったってことが今回のトピックだね!

その通り!
癌は遺伝子の変異が原因ではない!

それを証明したのがボストン大学で遺伝子学を研究していたDr Tomath Seyfriedだよ!

Seyfried博士によると、これまで数々の研究で遺伝子の変異は二次的なものだってことが証明されていたって言うんだ!

どんなの?

悪い遺伝子(細胞のDNAを含む癌細胞の核)を健康な細胞(マイトコンドリアを含む細胞の残りの細胞質)に転移させると、例外なく、癌性の核が健康になる。

そして逆に、健康な核を取って癌細胞(癌化した細胞の細胞質)に移すと健康な核が癌化するんだって。

凄い!

でしょ!

これは明らかに癌が遺伝子変異以外の原因で起こっているよね!

遺伝子の変異が原因ならその変異した遺伝子を健康な細胞に移すと健康な細胞は癌化するってことだもんね!

そう言う事!

これは、オンになったすべての癌遺伝子がオフに、オフになったすべての腫瘍抑制遺伝子がオンに戻るとを意味している!
健全なDNAを含む健全な核が(損傷したマイトコンドリアを含む)癌性細胞質に移される度に、その健常な核は突然癌性に変わる。悪い遺伝子はすべてオンになり、良い遺伝子はオフになります。
この一連の研究は、癌性の遺伝子発現が機能不全の細胞呼吸の下流の現象であるか、またはそのために起こることを疑いの余地なく証明している。

細胞のマイトコンドリアが元気なら、癌性の核を移植されても核は蘇ると言う研究結果が沢山あるんだって!
マイトコンドリアの機能障害

Seyfried博士は癌細胞のマイトコンドリアも詳しく調べているよ。

何がわかったの?

まずマイトコンドリアのDNAを調べて(マイトコンドリアは細胞DNAとは別の独自のDNAを持っている)、突然変異が起きていないことが分かったんだ。

マイトコンドリアの遺伝子に異常はないって事だね!

そして、癌細胞のマイトコンドリアでは、酸化的リン酸化の制御に直接関係するマイトコンドリアの膜を構成している唯一の脂質、カーディオリピンの欠陥があったんだって!

酸化的リン酸化?

うん、ごくごく簡単に言うと、エナジーを作るために最も重要なのがマイトコンドリアの内膜で、ここで細胞のエナジーの89%が酸素を使って作られている。

*図の解説だよ!
左は解糖系(基質レベルのリン酸化により全エナジーの5.5%を産生)
中央はTCAサイクル(同上)
右は内膜(酸化的リン酸化により前エナジーの89%を産生する)

なるほど、その膜の構成要素に異常があるって事なんだ!

そう言う事!

このカーディオリピンの含有量と組成の異常によって呼吸障害が起きることを突き止めたんだよ!
癌細胞におけるカーディオリピンの異常は、変異原性および発がん性物質、放射線、低酸素、炎症、ROS(活性酸素)、またはマイトコンドリアのエナジー恒常性を変化させる遺伝性変異による損傷を含む、さまざまな非特異的な影響から発生する可能性があります。
酵母に見られるマイトコンドリア

この図を見て!

*図の解説だよ!
左下のマイトコンドリアがダメージを受けると
Rtg応答が起こる(左上から右上)
核の中に入り信号が伝わる(右上から右下)

何が書いてあるの?

RTGと言うのは核遺伝子の発現に影響を及ぼすマイトコンドリアから出される信号のことなんだ!

マイトコンドリアが遺伝子に何かを伝えるってことだね!

正常なマイトコンドリア機能を持つ健康な細胞ではこの信号が「オフ」になっているよ!

逆にオフ状態では、Rtg1は高度にリン酸化された形のRtg3に結合した状態で細胞質内に隔離されているんだ!

リン酸がPだね!

マイトコンドリアのエナジー産生にダメージが有ると信号が「オン」になるよ!

マイトコンドリアの機能に異常が起こると信号が発信されるんだね!

オン状態では、細胞質のRtg2がRtg3の脱リン酸化を介してRtg1 / Rtg-3複合体を切り離すよ!

リン酸が結合から離れるとRtg1とRtg3もバラバラになるんだね!

そしてRtg1とRtg3は別々に核の中に入って、Rtg3はRボックス部位に結合して、Rtg1はRtg3に再結合するんだよ!

これで核遺伝子に信号が伝わるんだね!

マイトコンドリアの機能障害を遺伝子に伝える目的ってなんだと思う?

エナジーが正常に作れなくなったから、このままでは細胞が生きていけないってことを伝えているんじゃないかな?

その通り!
細胞は別の代謝を使ってエナジーを確保する必要があるよね!

これは、 Rtg1とRtg3の再結合は『代謝適応(SLP)』と『細胞増殖と生存』と『ゲノム不安定性』を引き起こす、つまり遺伝子変異のメカニズムが説明してある図なんだよ!
そして、MYC、TOR、p53、Ras、CREB、NFkB、およびCHOPを含む複数のエネルギーと抗アポトーシス関連遺伝子およびタンパク質についての転写およびシグナル伝達が開始する。

これは酵母では結構研究されているメカニズムなんだって!

人にもあるのかな?

人にはRtgは見つかっていないけど、HIF-1aとMYCと言うRtgと類似性のある同じグループに属したタンパク質があるんだって!

*図の解説だよ!
左の上からマイトコンドリアが障害を受けるとRTg応答を受けて遺伝子変異が起き、代謝が変わるよ!
下のグラフは酸化的リン酸化の依存が減り(緑)、基質レベルのリン酸化への依存が増える(赤)事を表しているよ!(説明するよ!)

これも低酸素状態でオンになる物質なの?

その通り!
食事と薬だけで最も悪性の癌が消えた!

これはマウスの実験だよ!


頭が膨らんでる!

脳腫瘍の中でも最も悪性で進行の早いグリオブラストーマ(グリア芽細胞腫ステージ4)をマウスに移植して二つのグループに分けたんだ。

二つのグループの違いは食事制限だけ!

左は高炭水化物食(標準食)で右は糖質40%制限した食事だよ!

全然大きさが違うね!

糖質制限したマウスは最大65%〜85%腫瘍が減少したんだって!

なんで、糖質制限すると小さくなるの?

癌細胞は乳酸を大量生産するって話をしたでしょ。

これは非常に効率の悪いエナジーの取り出し方で大量のグルコースが必要なんだ!

燃料が沢山必要だから非効率なんだね!

つまり癌細胞は正常細胞よりはるかに多くのグルコースを消費する必要があるわけだよ!

癌細胞の燃料を奪ったから小さくなったんだね!

ところが、糖質を完全に取り除いた食事を与えてもマウスの脳から癌細胞が完全に消えていなかった!

何でかな?

まさに、Seyfried博士も同じことを考えて、『グルコースが燃料になるならグルタミンも燃料になるに違いない』って考えたんだ!

グルタミン?

人の体内に豊富なアミノ酸だよ!

Seyfried博士はグルタミンが癌細胞の中に入る為に必要な酵素を阻害するグルタミン拮抗薬(DON: 6-Diazo-5-oxo-L-norleucine)も使うことにした!
3つのグループに分けた後、
標準食を与えたマウスは癌が爆発的に進行して15日後に死んだ
食事制限したマウスは癌の進行はなかった。(15日後)
食事制限にDONを投与したマウスの癌細胞は死滅した。(15日後)

グルコースとグルタミンのどちらも癌細胞の燃料だったんだ!

そう言う事!
マイトコンドリアの発酵

Seyfried博士の説明による、癌化までの流れを見てみるよ!

正常細胞はマイトコンドリアの内膜でエナジーの89%を作るよ!

ATPがエナジーそのもので、マイトコンドリアの内膜で酸素を大量に消費するよ!

酸化的リン酸化と言う方法で89%もエナジーを作っている。

カーディオリピンがあるのも89%って書いてあるところにあるんだよね!

その内膜に障害が起こると、細胞が生きていけなくなるよね!

通常なら、使えない細胞はプログラム細胞死(アポトーシス)によって無くなるけど、アポトーシスを誘発するほどでもないような呼吸機能の損傷は逆行的な信号が遺伝子に伝わることで代謝適応や遺伝子の変異が起こるよ!

癌細胞は細胞質(20%)とマイトコンドリアの基質(75%)でエナジーの95%を作るよ!

内膜が役に立たないから酸素を使わない代謝が活発になるんだ!

89%から5%に落ちたね!

その代わりにマイトコンドリアのTCAサイクル(クレブス回路)が75%、解糖系が20%を占めるようになる。TCAサイクルも解糖系も両方酸素を必要としない嫌気性の代謝だよ!

だから『発酵=嫌気性呼吸』とSeyfried博士は呼んでいる。

癌細胞は嫌気性の呼吸で生きていけるんだね!

解糖系はブドウ糖を分解する場所だから、糖質制限が有効だし、グルタミンはTCAサイクルに入れるから、グルタミンを同時にブロックすることが癌治療に有効ってことだね!

必要食事制限って糖質を減らすだけでいいの?

それは・・
【癌は代謝障害の概要】
・細胞にはエナジーを作り出す工場があるよ
(マイトコンドリアは工場、ミトコンドリアは和製英語だよ)
・工場では酸素を使ってエナジーを作っているよ!
・発がん性物質によって工場がダメージを受けると細胞の生存危機だよね!
(内膜がダメージを受ける)
・そこでダメージを受けた状態でも工場の運営が出来るように設計図を変えて欲しいと言うメッセージを送るよ!
(Rtg応答)
・設計図を作り変えて工場を動かせるようにするよ!
(遺伝子が変異する)
・酸素がない状態でも工場でエナジーを作れるようにする!
(嫌気的呼吸=発酵を利用してマイトコンドリアを機能させる)
・だから、今までにないアプローチで治療が出来るよ!
それを代謝療法と言うよ!ここからは続きを見てね!
出典:Cancer as a metabolic disease
:THE STERN METHOD
:Silicon Valley Health Institute