生化学的アプローチで糖質、糖、食物繊維の意味と小腸−肝臓での栄養吸収−利用の仕組みを理解することからはじめよう!
糖質、糖、食物繊維などの栄養素

今回は炭水化物の話の続きをやろうかと思ってるんだ。

賛成!


理想の身体づくりをする人は必見だね!

それじゃ、前回話した続きを始めるよ。
まずはアメリカの栄養表示を見ていくよ。
“Total Carbohydrates
The carbohydrate category on a food label represents the entire amount of carbohydrates in a product. Total Carbs are broken down into two sections: fiber and sugars. These are added together in addition to starches to create a total carbohydrate value.”
Robo的解釈総炭水化物
食品ラベルにある炭水化物の項目は商品に含まれる炭水化物の総量を表しています。総炭水化物は食物繊維と糖の項目に分けられます。ここにデンプンを加えたものをまとめて総炭水化物含有量としています。

この記事はアメリカの管理栄養士さんが書いているよ。 画像を拡大して確認してみて欲しいんだ。

全炭水化物が22gに対し食物繊維が0gで糖が6gになってるね。

日本での栄養基準は
食物繊維+糖質=炭水化物
だったよね。

でも本当は炭水化物=糖質=糖だったよね?

その通り!
本当は糖(6g)の中に炭水化物(22g)が入っていないとおかしいんだ!

本当だ!しかも日本の栄養基準から言っても計算が合わないよね。

そうなんだよね。アメリカの栄養表示では
食物繊維+シュガー+デンプン=炭水化物
どの記事を読んでもこんな足し算になってるんだよ。

もともとデンプンもシュガーなのに何だかややこしいなぁ。

そうなんだ。
生化学ではデンプンは多糖の1つだから本来は糖のはずなのに、デンプンは糖の概念から外れてきてしまっているね。
こうなると、シュガーは糖質とも訳せないし、生化学の言う糖とも訳せない概念になってくるんだ。

そっか〜。

もっとも、シュガーの広義の意味として糖、狭義の意味としてデンプン以外の糖と訳せなくも無いけど。。
ただ、本来デンプンもサッカライド=シュガーなんだけどね。

でも、栄養表示的にデンプン以外の糖とデンプンを分けている理由があるの?。

良い質問だね!
実は糖を大きく2種類に分ける概念があるんだよ。

へぇ〜、どんなの?

それが、
Simple Carbohydrate と
Complex Carbohydrate
単純炭水化物と複合炭水化物
なんだ。

単純と複合??

そう、シュガーは単純、デンプンは複合に分類されているよ。

何が違うの?

単純炭水化物は消化吸収が早く複合炭水化物は消化吸収に時間がかかる特徴があるよ。

消化吸収時間で分けてるのか〜。
ダイエットのコツはGI値とインスリンの分泌を理解して血糖コントロールで中性脂肪の合成を防ぐ事!
GI値・インスリンの関係と血糖値・中性脂肪の関係


カーボが単純、カーボが複合だから炭水化物の数かな?

ピンポン!単糖は炭水化物が1個で出来ているんだったのは覚えてるよね?

うん。
単糖が2個結合したもの、つまり炭水化物が2個くっついたものが2糖なんだよね⁈。
で、それよりも多いのがオリゴ糖、多糖だね?

その通り!
数量をあえて言うと、単糖が3個から9個くっついてオリゴ糖、それ以上を多糖って言うんだよ。
2個以上をまとめて多糖って呼ぶ事もあるけどね。

炭水化物がたくさんくっついていると消化吸収に時間がかかるって事だね⁈

糖の吸収は小腸からされるんだけど、単糖になってからじゃないと吸収されないんだ。

だから炭水化物がたくさんくっついている多糖の方が、吸収に時間がかかるんだね。

もっとも、複合炭水化物は糖以外の分子と結合している炭水化物を言うから、ダイエット界ではそこも無視されているね。

で、消化が早いか遅いかで何が変わってくるかと言うとインスリンの分泌が変わるんだ。

インスリン?

まず糖は吸収されると門脈から肝臓、それから全身の血管を流れていくよ。

知ってる!血糖値の事だね⁈

そう、血糖値とは血中のブドウ糖の濃度を表したものだよ。
食後に血糖値が上がると上がった血糖値を下げる為にインスリンと言うホルモンが分泌されるよ。

血液からブドウ糖を消すの?

ただ単に消している訳ではなくて、全身の細胞に送り届けているんだよ。

そっか〜。それがエナジーの元になるんだね。

うん、筋肉や脂肪細胞にはブドウ糖を細胞の中に運び入れる物質(GLUT4)があって、インスリンによって活性化されるんだよ。
そして筋肉や臓器に運ばれた糖は、活動エナジーとして利用されたり、グライコジェン(糖原)に合成されて蓄えられているんだ。

蓄えるコトも出来るんだ〜。

特に肝臓はグライコジェンを蓄える臓器で貯蓄率では最大で肝臓重量の10%にもなるよ。

へ〜。

また、筋肉全体での貯蓄量は300〜400gとも言われているんだ。
これは肝臓に貯める量より多いんだ。

じゃあ、エナジーとして使う糖と溜める糖よりもたくさん糖を摂ったら血糖値が高いままになるの?

良い質問ダネ〜!
もし、筋肉や肝臓に糖がたくさんあって行き場の無い状態の時、この余分な血糖を中性脂肪に作り替えて脂肪細胞に送ってしまうと言われているんだ。

じゃあ、炭水化物は摂り過ぎると太るんだね。

そう言うコト!太る原因の1つなんダヨ。

だから、たくさん炭水化物が結合している多糖を食べた方が活動エナジーとして使われたりグライコジェンとして溜めたりと言った反応がゆっくりとになる分、脂肪になりにくいってワケだね⁈

ピンポン!そしてこのような血糖上昇の速度を指標にしたのもをグライセミックインデックス(GI値)と言うよ。

グライセミックインデックスか〜。

GI値の高い糖質ほどインスリンが急激に分泌され、GI値の低い糖質ほどインスリンが緩やかに分泌され、また活動エナジーがゆっくり供給されるって言われてるんだよ。

つまり、単純炭水化物はGI値が高い、複合炭水化物はGI値が低いと言う関係になっているんだね⁈

ただし、注意したいのは実際の食材に含まれる糖質の種類、食事の内容や食べ方によってインスリン分泌は変わってくるから、あくまでも分類上の話だよ。

なるほど〜。

ちなみにSimple Sugar、Complex Sugarとも言われているから、デンプンも糖の概念に収まってるよね。

なるほど〜。
食物繊維がfiber、糖質=糖=シュガー(単糖、2糖のsimple suger とデンプン:多糖のcomplex auger )と言うワケだね。

その通り!だから糖類と訳すとチンプンカンプンになってくるよね。

でも食物繊維は多糖なんだよね?

そうだよ。だからこの分類は日本でもアメリカでもオカシイってコト。
一応栄養学的な解釈としては食物繊維は消化されない多糖、単糖と2糖は消化吸収が早い糖、デンプンは消化吸収が遅い糖、と言うコトにはなるよね。

その学問を使って、その学問と違うものを作るなんて、人間って不思議な生き物だね。

生化学と生化学を無視している栄養学、2つの学問で定義の違う同じ言葉を使うから話がややこしいんだよネ。
炭水化物はCmH2Onのこと。
簡単に言うと炭素と水の化合物だよ。
mは炭素原子の個数、nは水分子の個数。
日本の栄養基準では、
炭水化物は糖質と食物繊維で構成されていると言っているよ。
でもよく見て、CH2Oの中に糖質や食物繊維なんてないね。
あるのは炭素と水素と酸素。
一方でアメリカの栄養基準では、
炭水化物は食物繊維と糖とデンプンで構成されていると言ってるよ。
でもよく見て、CH2Oの中に糖やデンプンや食物繊維なんてないね。
あるのは炭素と水素と酸素。
本当は糖やデンプン、食物繊維の中にCH2Oがあるんだよ。
また基本的にはデンプンも食物繊維も糖だよ。
何個炭素があるのか何個水があるのかと言う違いだけだよ。
