
今回は乳酸についてだよ!

高負荷の運動をするほど乳酸の血中濃度が上がるんだよね!

その通り!
コリ回路で乳酸は糖新生を受ける

実は、疲れると乳酸がたまるって広く信じられていていたんだ!

でも血中に筋肉で作られた乳酸が出てくるんだから筋肉にたまらないって分かりそうだよね!

そうなんだよ!
『筋収縮を繰り返すと筋収縮が弱くなる、そしてその筋肉に乳酸がある』、この側面だけが一人歩きしていたんだよね!

それが、疲労物質の名前の由来なんだネ!

乳酸がエナジーの元になる可能性は1900年代初頭には発見されているんだよ!

エナジーになるの?

まず1つ目がコリ回路と呼ばれるものだよ!

コリ回路?

筋肉で発生した乳酸が血中に増えると血液が酸性に傾くんだけど、酸性になりすぎると身体が不調を起こすからどこかで中性に戻す必要が出てくる、ここまでは分かるね?

血液のPHが一定になるように調節されているってことだよね!

そう、この調節は主に肝臓で行われるんだ。

それがコリ回路だね!

乳酸は肝臓に取り込まれて、肝臓に多く存在するいろんな酵素によってグルコースに作り変えられて血中に戻されるんだ。

なるほど!糖新生を受けてPHを維持するんだね!

その通り!そのグルコースはまた筋肉収縮のエナジーとして利用されるから、このサイクルを発見者のカール・コリ博士夫妻の名前を取ってコリ回路って言うんだ!
この流れを見ても乳酸がエナジーのリサイクルを受けていることが分かるよね!

乳酸はエナジーに作り変えられると言う事でもあるんだネ!
乳酸は心筋や赤筋のエナジー!

乳酸は肝臓だけではなく心臓や脳のエナジーとして使われているんだよ!

何で分かるの?

それが、MCTと言う運び屋の存在なんだ!

MCT??

モノカーボキシレイト輸送体(monocarboxylate transporter)と言って乳酸、キートン、酢酸などを細胞内に取り込んだり細胞外に吐き出したりする働きがあるんだよ!

MCTは4種類あっていろんな細胞に存在することがわかっているんだ!

MCTが乳酸を細胞の内外輸送するのに関わっているんだね!

乳酸をMCTが輸送する、これを乳酸シャトルって呼ぶんだよ!
MCTは乳酸やキートン、酢酸を輸送するタンパク質で4種類あるよ!
そのうちMCT4が多く分布しているのが白筋で乳酸を細胞の外に吐き出す役目があるよ!
そしてMCT1が多く分布しているのが赤筋と心筋で乳酸を細胞内に運び込み役目があるよ!

つまり無酸素状態で作られた乳酸は白筋から運び出され直接赤筋に取り込まれるか、血流に乗って心臓や赤筋に取り込まれてエナジーとして使われている!
そして肝臓のMCT2は乳酸を肝臓に運び込んでその後、糖新生を行うんだよ!
『グルコースが脳の唯一の栄養』は迷信!

『筋肉が動かない+乳酸が溜まっている=乳酸は疲労物質』って言う単純なものではないことが分かるでしょ!

乳酸は疲労物資でないどころか細胞各所でエナジーとして利用されていることが分かるよ!

実は、未だに広く信じられている迷信に『糖は脳の唯一のエナジー』というのがあるんだけど、キートンや乳酸をエナジーに使っていることが分かっているんだ!

わかった!脳にもMCTがあるんだね!

ピンポン!
MCT2やMCT4は乳酸やキートンを細胞内に運びこむタンパク質なわけだけど、MCT2 は神経細胞に分布していて生理的条件下でしばしば飽和していると考えられる (つまりいつでも乳酸を取り込めるだけ取り込んでいる)、そしてMCT4 は 主にアストロサイト(神経細胞の1つ)に分布していて乳酸濃度が高くなるほど輸送量も増えるって言う特徴があるんだって!

神経には乳酸が必要なんだね!

そうなんだ、乳酸は脳の海馬の記憶形成に必要だと言うことまでわかっているんだよ!

乳酸ってすごい!

乳酸だけじゃないよ!

脳は優先的にブドウ糖を燃料に使うって言うだけで、高脂肪低糖食や断食、絶食時にはベータハイドキシビュートレイト(β-hydroxybutyrate)やアシトアセテイト(acetoacetate)などのキートンを使うことができるんだよ!

たしかに、糖しかエナジーにならないとしたらあっという間に死んじゃいそうだネ!

なのに脳の栄養がグルコースだけって言うことになっているのは何で?

多分、日本の医療や栄養学が遅れているのとブロガーの間違った情報が圧倒的に検索上位を占めていることが弊害になっているんじゃないかな?

これからは本当の情報が広がるといいね!

主な参照だよ!
:http://first.lifesciencedb.jp/archives/2472/amp
:http://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/data/h16-R/119846/119846a.pdf
:https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12680014/
:https://www.igaku.co.jp/pdf/1302_tonyobyo-2.pdf
:http://ultrabem.com/protein_gene/m/mct.html
:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2874681/