バイト敬語の
・『よろしかったでしょうか?』は過去形じゃない!
・『よろしいでしょうか?』は簡素な聞き方!
『よろしかったでしょうか』は過去形じゃない!

今回はバイト敬語と言われる『よろしかったでしょうか?』の使い方について話すよ!

バイト敬語はそもそも敬語ではないんだよネ!

その通り!そもそも敬語かどうかを論じても意味がないよ。
体系的にどうなのかを論じないとね!

『よろしかったでしょうか?』は何がダメなの?

現在の事を聞いているのに過去形になっているのは変だって言われているんだよ!
たかし君はレストランで働いています。お客さんの注文を聞いて間違いがないか確認をします。適切な聞き方は?
①以上でよろしいでしょうか?(現在形)
②以上でよろしかったでしょうか?(過去形❓)

なるほど。たしかに②は過去形のようダ。

じゃあこれはどうかな?
ウメさんは腰に痛みがあり1カ月に1回整形外科へ定期検査に通っています。看護師のしおりさんが問診を取る時に適切な聞き方は?
①お変わりないですか?
②お変わりなかったですか?

もし、最初の例に照らし合わせて考えるなら①が適切ってことになるよネ?

そうだね。
例1の①が正しいとする根拠は『現在形』か『過去形』かで考えて②を排除しようとしているってところだからね!

でもね、例2ではおかしなことがおきてるよ!

え、ナニナニ?

『変わる』の意味を考えてみようか?

『変化する』って事だネ。

『変化』って言うのは時間軸で考えて、ある時点から次のある時点で状態が変わる事を言うでしょ?

ウメさんの痛みの症状の変化を考えた場合、①が正しいとすると問診を取りに行っている間の痛みの変化、今の痛みが変化しているかを聞いているってことになるよね。
つまりこれが今説(現在形)になってる。

今の変化を聞いてるワケじゃないよね?

その通り!しおりさんがウメさんに聞きたいのは前回診察を受けた時点から今問診をとっている時点までの『変化』なワケだよね?

たしかにそうだね!
①お変わりないですか?
:ウメさんの今の変化を尋ねているから❌
②お変わりなかったですか?
:ウメさんの前回の診察後から今までの変化を尋ねているから⭕️

つまり『お変わりなかったでしょうか?』が正しい日本語ってこと!
『お変わりないでしょうか?』は今の痛みの刻々とした変化を尋ねる時だけに使える表現なんだよ。

なるほど!

じゃあ、現在形じゃなく過去形を使うのが正しいんだね!

実は、過去形は過去のある時点での出来ごとを言うから、過去形でもないんだよ!

えっ、現在形でも過去形でもないとしたら一体ナニ?

完了形だよ!現在完了形!

『現在完了形??』
『お変わりなかったでしょうか?』の2つの意味
過去形:過去のある地点のことを言う。過去形と考える場合、例えば3日前の5時頃の痛みの変化を尋ねる場合には過去形としても使える。
現在完了形:過去のある時点から現在まで継続している状態。ここでは特に継続用法というものに該当し、前回の診察から現在までの痛みが継続しているのどうかを尋ねている!

現在完了形は英語にはあって日本語にはないって言われているけど、日本人は無意識に現在完了形を使っているんだよ!

へ〜、スゴイ!
『よろしいでしょうか?』は簡素な聞き方!

じゃあ、現在完了形を知らずに使っていると言う大前提を踏まえて次の言葉を現在完了の視点で話すとどんな意味が出てくるか考えてみるよ!
・答えがあっている
:今答案用紙を見ている感覚(現在)
・答えがあっていた。
:解答した時点から答案用紙を確認する時点までに視点がある(現在完了・過去完了)
*例えば、今教室で答え合わせをしていて、隣の席の友達に解答の合否を確認する方法として『今のところあってる?(現在)』、『今のところあってた?(現在完了)』はどちらも使われる。どっちかの日本語がおかしいと言う論争にはなっていない。解答した時点に視点があると考え方る事もできる(過去):テストの時に正しい答えを書いたのかを尋ねている。
・お名前を伺ってもよろしいですか?
:今、名前を聞いてもいいかを尋ねている(現在)
・お名前を伺ってもよろしかったですか?
:名前を聞く相手の過去のどこかの時点から今に視点がある。(現在完了)
※この視点で尋ねることで名前を聞かれて嫌な思いしなかったか、その時点から嫌な思いをを引きずっていないか相手を思いやる気持ちのある丁寧な言葉として使うことができる!

なるほど!完了形の視点を考えると面白いことが分かるね!

そうなんだ、日本人が知らずに使っている大前提の現在完了形の視点を改めて考えてみると『お名前を伺ってもよろしかったでしょうか?』には使っている本人も気がつかないような丁寧な気持ちを込めていると言うことが分かるんだよ!

『よろしかったでしょうか?』は今日の本題でも出てきたネ!

その通り!
ここからが今日の本題だよ!

そもそも『以上でいいか?』の『以上』にはどんな意味があると思う?

『以上』の意味の中で『以上でいいか』に応用していると考えられるものをピックアップすると2つの『以上』があるよ!

つまり、『間違いないかを聞きたい場合』と『終わりでいいかを聞きたい場合』で応用されてるってことだね!

そうだね!これを踏まえて当てはめると次の様になるよ!
・『以上でよろしいですか?』
現在形:今に視点がある。(終わりでいいか尋ねる)
・『以上でよろしかったですか?』
現在完了形:確認を始めてから自分が確認終えるまでに視点がある。(それより前に述べたこと)
お客さんが言った事と私の言ったことに終始違いがなかったを尋ねる。

これを見ると、現在形と現在完了形のどちらが丁寧な表現かは断定し難いけど、『今の視点』の方が簡素なニュアンスがあって相対的には現在完了形の方が丁寧な印象を受けるよね!

たしかに『よろしいですか?』も間違いではないけど、簡潔ダ。

『現在の視点』と『現在完了形の視点』で、本来こんな使い分けをするのが妥当なんじゃないかと思ってるんだ。
繰り返さなくていい場合は『現在の視点』
本来覚えられるもの、間違えようのないものを繰り返すのは効率が悪い。
例えば枝豆単品で注文された場合、繰り返さなくても覚えられるので、そんな時は、繰り返さずに『以上でよろしいでしょうか?』と今の視点を使う。
繰り返す必要がある場合は『現在完了形の視点』
要確認の場合は繰り返す必要があるので、注文の繰り返しの後で『以上でよろしかったでしょうか?』と現在完了形の視点を使う。

なるほど!

時間軸で考える!これが適切な使い分けの基本だよ!

は〜い!